日本レストランでバイトしてみたら④【面白いお店 / 下】

昔の出来事

こうして「アルバイトをしながら学校に通っていた頃」の記憶を引っ張り出していると、色々なことがあったなあと懐かしい気持ちになります。

月曜日~木曜日 ⇒ 学校
金曜日~日曜日 ⇒ バイト
… なんて頃は、休みがまったく無いものだから、土日の夜にドカン!と飲みに繰り出したり。
んで、ときどき月曜の朝イチの授業は地獄の二日酔いで死んでたり (^^);

さて、このレストランシリーズもこれでひとまず終わり。
最後に僕ではなく、友達のケースをひとつ。


バイト始めたその日に…

ある日、一人の友達から電話で相談を受けた。
実はアルバイト先を探しているのだという。

「せめて生活費の一部くらいは自分で何とかしたいんです」

偉い!そーゆーことなら任せとけ。
地獄の二日酔いにならない程度に頑張ってくれ。

とゆーことで、さっそく知り合いの家族が経営する小さなレストランに電話をしたら、ちょうどスタッフを探しているので、来週からでも来てくれ、という。

なんと素晴らしいタイミング!
めでたしめでたし。コレでいいのだ。

と、思っていたのだけど。
初日の仕事が終わった彼から、速攻で電話が来て、

「あの~、さっき終わったんですけど、何があったと思います?」と興奮気味。

はて、いったい何があったというのかを聞いてみると… 。

まずお店に到着し、挨拶と着替えを済ませてスタンバイ。
キッチン仕事の経験がほとんど無い彼は、電話で「調理もやってもらうよ」と言われていたので、ちょっと緊張気味。
最初は厨房のアシスタントとして、材料の下準備あたりから始まるか?と思ったけど、なぜか連れて行かれたのが、いきなり寿司のカウンター。

「それじゃね、まずはネタの切り方だけどね…。」

はい?

初日からいきなり握らされたのだそうだ。

「シャリの量はこれくらいで、こう切ったネタを、こう、と。ハイ、やってごらん」

いやいやいやいや!
やってごらんって言われても💧
僕がですか? 今ですか?

「そう。大丈夫だから」

だ、大丈夫って言われても…。

初めて一貫握ってみたら、まな板の上にちょこんと乗っかっているのは、どう見てもミニチュアのおにぎり 🍙

開店まであと50分。
悩んだり落ち込んだりしている時間はない。
巻き寿司の巻き方も軍艦の作り方も覚えなきゃいけない。

おまけにアメリカの寿司屋さんだから、カリフォルニア巻きはもちろん、フィラデルフィア巻きだのスパイダー巻きだのスコーピオン巻きだのキャタピラー巻きだのと、日本じゃ見たことも無くて中身が何なのか分かんない巻き寿司がずらり。

まあ、普通ありえないよねw

といったところで、さあ開店!!
オーナーのおじさんの横でそれらしく振舞いながら、精一杯ついてゆく。

巻きすで鉄火巻きを巻き、六貫に切り分け、切った面を上にして皿に盛りつけると長さが違って段違い平行棒。
仕方ないからそのまま出す。

Sushi Regular(並一人前)の注文を受けて作ってはみたものの、一貫一貫の大きさが微妙にバラバラで、まるでお寿司のパパとママと子供たち。
その隣に妙に太ったかっぱ巻きがデン!と。

これにはさすがに「待った」がかかって、サイズを調節。

… 当たり前だよ💧

電話で彼の話を聞いて驚いた僕が、
「うわ~、エラい目にあったね!」
と言うと、
「何言ってるんですか!エラい目はその後ですよ」
… だそうで、まだ続きがあるらしい。


営業時間も半分を過ぎたころに、おじさんがあっさりとひとこと。
「それじゃ、あとは宜しくね」

ええええええ~~~~~!!!

宜しくってなんですか?
この後は僕ひとりですか?

「いや、今日は一番ヒマな曜日だから大丈夫だよ」

いや、ヒマとかそーゆー….。

残ったのは、キッチンに南米人が二人と、マネージャー兼ウェイトレスのおばさん。
寿司カウンターは彼ひとり。

さて、それから閉店までのあいだ、ヒマな日とはいえちゃんとそれなりにお客さんは来るわけで、入ってきた注文通りに無我夢中で寿司を握る彼。

注文に追いまくられて、切り終えたネタをケースに戻す余裕もない。
もう、まな板まわりはぐっちゃぐちゃ💧

こんな時に、カウンターのお客さんに話しかけられでもしたらどーするんだろうね。
もういっぱいいっぱいだっていうのに。

それとも、英語が堪能なうえにバカ正直な彼だから、何でもそのまま喋っちゃっただろうか。

(客)「もう板前の経験は長いのかい?」
(彼)「そうですねえ。かれこれ3時間にもなりますかねえ」

結局、なんとかかんとか閉店まで乗りきって、片付けをして終了。
死闘を物語る「失敗作の数々」はお土産としてもらってきたそうだ。


まさかそんな事になっていたとは知らなかった僕は「申し訳ない!」と謝ったのだけど、彼も中々の男で、「いや、まあ、パ二くりそうになったけど、大丈夫ですよ。もうこんな経験出来ないだろうし」と語っていた。

だろうねぇ。普通は無いわな。

そのあともよく、「あの時はかわいそうなことをしたな」と思ったもんだけど、よく考えたら一番可哀そうだったのは「板前歴50分」のお寿司を食べさせられたお客さんの方だよね。


ちなみにその友達は、その後すぐに別のお店に移ってしまいました。
ずっと続けてゆくのはやはり不安だったのでしょうねぇ。
いや~、やっぱり悪い事しちゃったかな 💧

【おしまい】

(👇ポチって頂けると嬉しいです!)

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ ボストン情報へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました