アメリカという国に根深く巣喰っている犯罪のひとつに「麻薬」があるのはご存じの通りで、よくテレビ番組などでも大勢の警察が麻薬アジトに突入し、売人たちを一斉検挙するシーンなんかを見かけたりします。
しかし、まさか自分のアパートが「突入される側になる」とは夢にも … 💦
【いきなり私服警官に囲まれて】
あれはボストンで大学生活が始まって一年が経ったころだったと思います。
ある日、ウチに遊びに来ていた友達と二人で「食事に行こう」ということになり、自宅のアパートを出たのですが。
大通りに通じる細い道を二人で歩いていると、後ろから走って来た大型の車がいきなり僕らの進路を塞ぐように停車して、中からいかつい感じの男たちが四人出てきたかと思うと「君たち、ちょっと…」と呼び止められた。
「え? なに? この人たち何??」
咄嗟のことに、いま目の前で何が起こっているのかが良く把握できないのだ。
一瞬、何かの犯罪に巻き込まれてしまったのかと焦ったのだけど、そこで男のひとりが「我々は警察の者です」と言って警察バッジを我々に見せてくれた。
「警察? 本当に?」
警察に呼び止められるような覚えなんか何もないし、第一このバッジが本物かどうかも分からない。
頭の中では警戒アラームが鳴り続けたまま消えないのだ。
どうしよう? この人たちを信じても良いのか? と焦りと緊張で固まった頭で考えていると … 。
隣にいた友達が、いきなり僕を置いてダッシュで逃げて行った💧
ええー--! ひとりで逃げるわけー--?
そーゆーのってアリですか💦
ひとり取り残された僕に男たちは「君たちがいま出て来たアパートね、あそこで何をしていたんだ?」という様なことを聞いてきた。
僕があそこに住んでいるのだと言うと、それなら住所の分かる身分証明書はあるか?と聞いてくる。
まだ運転免許も持ってなかったし、大学の学生証には住所の記載は無い。
参ったな … と思ってたら、財布の中から病院の診察券が出てきて、そこにはちゃんと住所が載っていた。
それを見せると割とすんなり納得してくれて、僕らを呼び止めたことを詫びて去っていった。
しかし「何故呼び止めたのか」の説明は無いままだったけど。
その様子を遠くから見ていた友達が、大通りの方からゆっくり戻って来た。
こういう時ってなんか気まずくて、一体何を言ったらいいのか分からず、「どうも俺たちを麻薬でも買いに来たと思ってたみたいだよ」と言ったのだけど。
彼曰く「○○君(僕の事)、恐怖で顔が真っ青だったぜ。だけど俺は冷静だったから、こういう場合は誰かに助けを呼ぶしかないと考えて大通りまで人を呼びに行った訳なんだよ」だそうで。
…. まあ、ね。
後からなら何とでも言えるわな💧
【警察の突入】
それから数週間したある晩のこと。
夜、アルバイトから帰って来ると、一階の正面玄関の内側に停めてある僕の自転車が無くなっていた。
「しまった!盗まれた?」と思いながら三階の自宅に上がり、しばらくしたら急に外が騒がしくなり始めて。
誰かの叫び声がするけど、何を言っているのか分からない。
やがてパトカーが二台ほど到着すると、何人かの男たちが警官に連行されていった。
アメリカのパトカーの赤色灯は赤と青の二色で、さらに白いライトまでチカチカ光っているので、これがやたらと眩しい。
僕は三階の窓から身を乗り出して一部始終を眺めていたのだけど … 。
よく見ると、一台のパトカーの後部荷室に無造作に詰め込まれているのは僕の自転車だ。
「え?なんでパトカーが俺の自転車積んでいるの?」
… どうしよう?
てか、このままだと持って行かれるわな💧
仕方なく下に降りて通りに出ると、そのパトカーの脇に一人の警官が立っていたので話しかけた。
「あのー、これ僕の自転車なんですけど」
僕はてっきり「持ち主であることを証明できるもの」の提示を求められるものとばかり思っていたのだけど。
「あそう?君の?じゃあ持ってって良いよ」だそうで … 。
あっさり解決。
後で隣人に聞いたところでは、どうやら一階に住む住人が実は麻薬の売人で、以前から警察に目を付けられていて、遂に踏み込まれてしまった、と。
そしておそらくはその直前に僕の自転車を盗もうとしたらしく、それもまとめて持って行かれるところで僕が帰宅、ということだったらしい。
いやはや何とも💦
つまり先日アパートの近くで警察に職務質問されたのも、やはり麻薬を買いに来る人間を見張っていての事だった訳です。
何と言いますか、まさか自分の住まいの真下に麻薬の売人がいて、警察のガサ入れ食らって全員逮捕となるとは … 。
これはちょっと実家の親には話さない方が良いかなと思い、内緒にしたままで今日に至っております (^^);
あ、ちなみにこの売人がいた部屋は、後日あたらしく入って来た住人が今度は火事騒ぎを起こしちゃって、消防車も救急車も全員集合!! 住人は全部避難の大騒ぎ … 。
以前の記事(2022/3/15) で書いた「一階のお婆ちゃん死んじゃってるんじゃねーの?事件」が起きたのもこのアパートだし。
我が青春の思い出の詰まった住まいは実に物騒というか賑やかというか、少しも退屈させてくれない素敵なところでした。
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