ボストンマラソン爆破テロ事件②

ボストン生活

地上に出た僕らは、そのままゴールラインに向けて歩き始めたのですが、まあいつもの事ながら物凄い混みようで、なかなか前へは進めません。

この写真の、ずっと前方にゴールラインのゲートがあるのですが、見えるでしょうか 👇

ランナーはこの写真の左側から出てきて、この先のゴールまで500メートルほど最後の猛ダッシュをかけます。
まさに全コースの中で「一番の見どころ」と言って良いでしょう。

実は僕らは、この進行方向左側の歩道(茶色のレンガの建物の前)をずーっと前方に進んで行く予定でした。そうすればゴールラインの10メートルほど手前にある「最高の応援ポイント」に辿り着けるからです。

しかしここから左側の歩道へはどうしても渡ることが出来ず、仕方なくとりあえず右側の歩道を進んでゆくことにしました。

もしこの時に一度地下鉄の駅まで戻り、そこから反対方向へ向かい、ぐるーっと遠回りをしてでも(結構な遠回りですが)「目的の場所」に向っていたら、今ごろ僕らはどうなっていただろうと、今でも考えることがあります。

結局、残念ながらその目的の場所へはたどり着けず、ゴールラインの真ん前での観戦が出来なかった我々は、仕方なくそのまま先へと進み、無事に走り終えたランナーたちを眺めながら歩き続けました。
「来年は参加して、必ずゴールインしよう!」「うん、練習しよう!」と語り合いながら。

さて、もう十分に応援したし、そろそろ帰ろうかということになり、その先にある地下鉄のアーリントン駅のホームで電車を待つことになりました。

しかし、です。
おかしなことに、いくら待っても電車が来ません。
マラソン当日だといっても、これは少し変です。

そしてしばらくすると、いきなり駅の職員がやって来て大声で「全員地上に出て下さい!」と言います。
「この駅は今から閉鎖されます」と。

は? 駅が閉鎖?

なんで?とか思いながらもとりあえず地上に出てみたのですが、周りの人たちも一体何が起こったのか分からない様子です。

仕方なく、再びゴールライン方面に向かってぶらぶらと歩いてみたのですが、やがてどうも様子が変だということに気付きました。

そして、角を曲がったところで一人の青年が目の前にやって来ると、僕の持っているペットボトルの水を指して「おい、その水で俺の手を流してくれ!」と言います。
見るとその手のひらは血で真っ赤に染まっていて。

どうしたのかと聞く僕に、彼はひとこと「爆発だよ!爆弾が爆発したんだ」と。

爆発?

僕は最初それを聞いて、爆弾ではなく「ビルのガス爆発」だと思いました。
ちょうどその辺では数年前にも大きな火災がありましたし。

「よりによってマラソンの日にガス爆発事故かよ … (><);」 と驚いたのですが、そうではないのだという事が分かるまで時間はかかりませんでした。

ゴールライン付近で爆発物が2回爆発し、多くの負傷者を出していること。

そのためレースは現在中断されており、ゴール付近まで来ているランナーたちは全員止められていること。

すでに多くの消防車や救急車が現場に来ていること。

そういう情報が次々と入ってきます。

前々回でも掲載したこの写真は、ゴールの数百メートル手前で止められているランナーたちの様子です 👇


ゴール付近は大騒ぎとなり、地下鉄にも乗れない我々は仕方なく隣の町まで歩くことになりましたが、その間にも続報が入り続けます。

そして帰宅後にテレビでニュースを見て、僕らはわが目を疑うことになりました。

その時のニュース映像がこちらです。


動画の最初に映っている一発目の爆弾が爆発した場所は、ゴールに向かって進行方向左側の歩道で、ゴールの10メートルほど手前でした。

そしてその場所こそが、僕と友達が「ゴールの応援に最高の場所」として向かっていた、まさにその場所だったのです。

【続く】




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